ご挨拶

 2023年のCOP28では、原子力発電は脱炭素と経済発展を両立する優れたエネルギー源であるとして、史上初めて成果文書にその重要性が記載されました。また、わが国を含む25か国は、原子力発電容量を2050年までに3倍に増やす合意文書に賛同しました。わが国においても、安全の確保を大前提に、原子力発電の最大限活用を図る方針を踏まえた種々の法改正、閣議決定が行われました。

 一方、わが国で現在稼働する原子力発電プラントは12基と、建設中を含む36基の3分の1にとどまっています。AIの急速な普及や脱炭素化の進展で増加すると予想される電力需要に応えるため、既存プラントの早期再稼働や新増設・リプレースにも取り組んでいかなければなりません。

 原子力がその期待される役割を果たすために、最も重要な課題の一つが人材育成です。効果的かつ効率的な人材育成を目指し、原子力人材育成ネットワーク(JN-HRD)が2010年11月に設立されました。現在、産業界、学術界、地方自治体および各省庁の84機関から成る本ネットワークは、国内外の人材育成のプラットフォームとして機能し、ネットワーク会員間や国際機関との情報共有および多彩な活動を積極的に促進しています。2017年8月には、本ネットワークのグローバルな活動をさらに促進すべく、国際原子力機関(IAEA)と実務協定を締結しました。さらに、2019年4月には、国内外の原子力人材の確保・育成に関するわが国全体の戦略を策定する戦略ワーキンググループを立ち上げ、2014年に策定された原子力人材育成戦略ロードマップを2023年度版に改訂するとともに、今後関係省庁との連携もより一層深めていきます。

 原子力人材育成ネットワークは、国内外の原子力関係諸機関の強固な協力関係の構築に努め、原子力人材育成に寄与していきます。関係者の皆様からのこれまでのご尽力に感謝するとともに、今後ともご支援、ご協力のほどよろしくお願いいたします。

2024年6月
原子力人材育成ネットワーク運営委員会委員長
増井 秀企

原子力人材育成ネットワークとは


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