ご挨拶

 人口増加と経済成長により、世界のエネルギー需要は増え続けています。また一方で、地球温暖化が一層深刻になっています。エネルギーの安定供給を確保しつつ、気候変動に対処することは、世界が取り組まなければならない喫緊の課題となっています。

 原子力発電は、これらの課題解決に寄与しながら、大量の電力を安定して供給できる重要なベースロード電源として、大きな役割を果たすことが期待されています。しかし、現在国内で稼働する原子力プラントは9基にとどまっており、原子力発電が有する価値を十分活かせていません。さらなる安全性の向上を継続的に進めるとともに、残るプラントの再稼働、運転期間の延長や設備利用率の向上など、既存炉の有効活用を図らねばなりません。また、将来を見据えた新増設・リプレースにも取り組んでいかなければなりません。

 原子力発電計画の発展に向け、最も大事な要素の一つが人材育成です。効果的かつ効率的な人材育成を目指し、原子力人材育成ネットワーク(JN-HRD)が2010年11月に設立されました。現在、産業界、学術界、地方自治体および各省庁の82会員から成る本ネットワークは、国内外の人材育成のプラットフォームとして機能し、ネットワーク会員間や国際機関との情報共有および多彩な活動を積極的に促進します。2017年8月には、本ネットワークのグローバルな活動をさらに促進すべく、国際原子力機関(IAEA)と実務協定を締結しました。さらに、2019年4月には、国内外の原子力人材の確保・育成に関する我が国全体の人材育成戦略を策定する戦略ワーキンググループを立ち上げ、関係省庁との連携もより深めていきます。

 原子力人材育成ネットワークは、国内外の原子力組織間の強固な協力関係の構築に寄与していきます。関係者の皆様からのこれまでのご尽力に感謝するとともに、今後ともご支援、ご協力のほどよろしくお願いいたします。

2020年11月
原子力人材育成ネットワーク運営委員会委員長
新井 史朗

原子力人材育成ネットワークとは


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